
人気のトラベルライター土庄雄平✕ジャンボフェリーのコラボ連載!2024年7月1日よりのダイヤ改正を記念して、読者の皆様に、8時15分神戸発のジャンボフェリーを利用して旅する、観光情報をお届けします。
第十三回目は、いよいよ始まる瀬戸内国際芸術祭2025夏会期に向けて。男木島・女木島アイランドホッピングをご紹介。ぜひご覧ください。

土庄雄平
トラベルライター/フォトグラファー。雑誌や新聞、旅行情報サイトで記事を執筆するほか、数々のフォトコンテストで入賞実績をもつ。得意ジャンルは自転車旅・山岳旅・島旅・秘湯旅・旅とキャリア・グルメの6つ。ペンネームの『土庄(とのしょう)』は、トラベルライターの活動の原点となった大好きな小豆島の地名から拝借している。
ジャンボフェリーから乗り継いで。気軽に楽しむ男木島・女木島アイランドホッピング

瀬戸内海に浮かぶ男木島(おぎしま)と女木島(めぎしま)は、高松港からフェリーで気軽に訪れることができる小さな離島。猫とアートが共存する個性豊かな男木島と、鬼ヶ島伝説が息づく神秘の女木島、二つの島が織りなす魅力あふれる旅が楽しめます。今回は神戸発のれんらく周遊きっぷを使って、週末のちょっとした冒険にぴったりの旅をご案内します。
週末は船に乗って、瀬戸内の島めぐりへ
高松港から北へおよそ4kmに位置する女木島と、さらにその先、1.5kmほど沖に浮かぶ男木島。どちらもフェリーで気軽にアクセスできる、瀬戸内海の小さな離島です。瀬戸内国際芸術祭の会場のひとつとしても知られ、近年ますます注目を集めています。
男木島は、斜面に寄り添うように家々からなる独特の街並みに加えて、島のあちこちで出会える人懐っこい猫たちも魅力。アート作品も点在し、のんびりと島時間を楽しめます。一方で鬼ヶ島伝説で知られる女木島には、洞窟や海水浴場など見どころが点在し、どこか神秘的な空気が漂います。
神戸発の弾丸旅!男木島・女木島の周遊きっぷ
神戸から高松、そして男木島・女木島へとめぐる充実の旅をおトクに楽しめるのが「男木島・女木島れんらく周遊きっぷ」。ジャンボフェリーと雌雄島(しゆうじま)海運がタッグを組んだ切符を利用して、深夜便「りつりん2」に乗れば、その日の朝からすぐにアイランドホッピングを楽しめるのが魅力です。
神戸港を深夜1時に出航する「りつりん2」には、新幹線を使えば東京や名古屋からでも仕事終わりに間に合うのがうれしいポイント。新神戸駅からは地下鉄やバス、徒歩でそのまま港へアクセスできるのでスムーズです。実際に筆者も、名古屋駅を21時に出発し、ゆとりをもってフェリーに乗り込むことができました。
学生時代は雑魚寝の席を確保するために奮闘していましたが、今では快適なシングル個室を利用することも。室内は適度な温度で、寝台特有の蒸し暑さもなく、まるで移動式のホテルのよう。高松港へ到着する夜明け前後の時間帯は、非日常感にあふれ、旅の始まりを特別なものにしてくれます。
島旅の始まりは、うどんとともに。高松の朝活案内
ジャンボフェリー「りつりん2」が高松に到着するのは、まだ夜が明けきらない朝5時15分。無料のシャトルバスで市街地へ向かっても、女木島・男木島行きの始発フェリーまではたっぷり2時間以上。そこで隙間時間に楽しみたいのが、讃岐うどんの食べ歩きです。
朝から営業しているうどん店が点在する高松。なかでも駅前の「味庄」は、5時台から開いている貴重なお店。肌寒い朝の空気のなか、湯気立つかけうどんをすすれば、旅の疲れもほっとほぐれます。年季の入った店構えにも、どこか旅情が漂います。
腹ごなしに高松港周辺を散策すれば、清々しい潮風とともに、かつての高松城の石垣など歴史の名残にも触れられます。そしてもう一軒、「めりけんや 高松駅前店」で2杯目のうどんを。コシの強いざるうどんや、さっぱりしたぶっかけうどんは、これから始まる島歩きの前にぴったり。高松の朝は、爽やかなうどんとともに始まります。
鬼の物語と波音と。五感で感じる女木島さんぽ
高松港からフェリーに揺られて約20分。のんびりとした船旅の先に、最初の目的地「女木島」が姿を現します。周囲わずか9kmのこの小さな島には、瀬戸内ならではの穏やかな空気が漂い、どこか懐かしさを感じさせる景色が広がっています。
島の民家を囲む石垣“オテーテ”が印象的な町並みには、なぜかモアイ像も点在!? 港を降りてすぐ目に入る『カモメの駐車場(作家:木村祟人)』も、瀬戸内国際芸術祭の作品のひとつとして、訪れる人をあたたかく迎えてくれます。
素朴な女木島では、耳に届くのは波の音と、ゆったりと流れる島の暮らしのリズムだけ。訪れるだけで心がふっと軽くなるような、静かで癒しに満ちた時間が流れています。
また、女木島は通称“鬼ヶ島”としても有名です。その由来となっているのが、島の頂上近くにある「鬼ヶ島大洞窟」。洞窟内には鬼の像や鬼瓦が点在し、まるで桃太郎の物語の世界に迷い込んだかのような幻想的な空間が広がっています。
港から洞窟までは、徒歩、レンタサイクル、バスと移動手段もさまざま。島の自然や空気をじっくり味わいたいなら、徒歩や自転車での移動がおすすめです。時間や体力に応じて、行きか帰りのどちらかだけバスを利用するのも良いでしょう。

雄平のおすすめポイント
アートと猫と坂の町。感性くすぐる男木島へ
女木島を後にし、フェリーで約20分。次に目指すのは、お隣の「男木島」です。この束の間の船旅が旅情をかき立ててくれます。男木島は、南北に長い女木島とは対照的に、コンパクトな島。起伏のある地形ですが、徒歩でも十分に巡ることができ、散策にぴったりのサイズ感です。
そんな島歩きで欠かせない存在といえば——そう、「猫たち」。かつてはひっそりと野良猫が暮らしていた男木島ですが、近年“猫の島”として注目を集めるようになりました。今では、のんびりと島中を歩く猫たちの姿が、男木島の風景としてすっかり定着。過疎化が進んでいた島に、少しずつ賑わいをもたらしています。
猫に出会いたいなら、フェリー乗り場を降りてすぐ、豊玉姫神社へ向かう坂道がおすすめ。お腹を空かせた猫たちが、ごはんを待ちわびて集まってくるスポットです。歩くそばからすり寄ってくる姿には、思わず顔がほころびます。とはいえ、可愛いからといって、人間の食べ物を与えないように気をつけてくださいね。
もちろん、男木島の魅力は猫だけではありません。フェリー乗り場から徒歩15分ほど南東に進むと、青く澄んだ海と白い砂浜、そして雄大な小豆島を望む絶景スポットが待っています。漁村らしい町並みとのギャップに、きっと驚くでしょう。
この場所には、瀬戸内国際芸術祭の作品『歩く方舟(作家:山口啓介)』が展示されています。澄み渡る空と海を背景に際立つ白い外観と、どこか印象的なフォルムが特徴で、フォトジェニックなスポットとして多くの来訪者を惹きつけています。一方で、この作品には視覚的な魅力だけでなく、現代社会への問いかけやメッセージが込められている点も見逃せません。

雄平のおすすめポイント
いかがでしたでしょうか?男木島・女木島れんらく周遊きっぷを利用すれば、神戸〜高松〜男木島・女木島を週末でたっぷり満喫できるアイランドホッピング旅が可能です。2025年の瀬戸内国際芸術祭をきっかけに、ぜひ現地の魅力を体感してみてください。