
人気のトラベルライター土庄雄平✕ジャンボフェリーのコラボ連載!2024年7月1日よりのダイヤ改正を記念して、読者の皆様に、8時15分神戸発のジャンボフェリーを利用して旅する、観光情報をお届けします。
第十回目は、小豆島坂手港新ターミナル「さかてらす」から始まる小豆島芸術旅のご紹介。ぜひご覧ください。

土庄雄平
トラベルライター/フォトグラファー。雑誌や新聞、旅行情報サイトで記事を執筆するほか、数々のフォトコンテストで入賞実績をもつ。得意ジャンルは自転車旅・山岳旅・島旅・秘湯旅・旅とキャリア・グルメの6つ。ペンネームの『土庄(とのしょう)』は、トラベルライターの活動の原点となった大好きな小豆島の地名から拝借している。
神戸から出発!新ターミナル「さかてらす」で始まる小豆島の旅
2025年4月12日、香川県小豆島・坂手港のターミナルが新しくなりました。「さかてらす」と名付けられたこの新施設は、フェリーの発着所という枠を超え、島の情報や魅力を発信する拠点としての役割も担います。就航しているのは、神戸と小豆島を結ぶジャンボフェリー。今回は「さかてらす」を起点に、島の新たな魅力を探す旅へとご案内します。
神戸〜小豆島・坂手港の船旅 — 朝便・あおい&深夜便・りつりん2の魅力
小豆島・坂手港までは、神戸港からおよそ3時間半。穏やかな瀬戸内海をゆったりと進む船旅を楽しめます。平日は1日3便、土日祝は4便が運行されており、平日・週末を問わず深夜便が利用できるのも嬉しいポイント。そして、なかでも便利なのが朝便。ジャンボフェリーの新船「あおい」に乗船でき、快適さと特別感を味わえる船旅が待っています。
・金曜の仕事終わりでも旅に出発可能。寝てる間に小豆島へ到着し、まるで移動式のホテル。
・のびのび席も旅情がありますが、しっかり睡眠をとりたい方には、快適に眠ることができるシングル個室利用がおすすめ。
・船内には、小豆島の人気店「MINORI GELATO」や名物のうどんなど、ご当地グルメがずらり。
・白い船体が瀬戸内ブルーに映える絶景のクルーズは、移動時間も旅の主役になります。
・プレミアム席を予約すれば、4つのデッキすべてを満喫できる特典付き。足湯や展望風呂で、心までリフレッシュ。
新たな玄関口「さかてらす」— 小豆島・坂手港に誕生した複合型ターミナル
坂手港に新たに誕生した「さかてらす」は、鉄筋4階建ての新ターミナル。フェリーの乗り降りだけでなく、観光や移住支援の拠点としても活用される、ユニークな複合施設です。
1階には乗船券売り場やショップ、テイクアウト専門のカフェがあり、旅の出発点にぴったり。3階にはフェリーの乗下船口があり、4階にはヤノベケンジ氏によるアート作品「SHIP’S CAT」が設置され、シンボルとして訪れる人を迎えてくれます。
運営を担うのはNPO法人トティエ。2階には、移住を検討している人のための相談スペースが設けられており、実際の生活を体験できる滞在施設(個室・ドミトリー)も完備。また、島での仕事探しや移住後の暮らしをサポートする取り組みも行っており、「さかてらす」は観光の玄関口であると同時に、移住への第一歩を後押しする場所となっています。
【1階】ショップエリア&カフェ — 厳選されたお土産が揃う
さかてらす内のショップには、地元を代表する選りすぐりの特産品が並びます。古くから続く醤油や佃煮、名産の手延べ素麺、そして小豆島を象徴するオリーブ製品まで、バラエティ豊かな土産が揃い、お買い物の時間も旅の楽しみに。
【2階】移住支援&島暮らし体験の場 — 移住を真剣に考えている方へ
2階には、移住希望者のための宿泊スペース(最大20人)や相談窓口、コワーキングスペースなどが設けられています。共用のラウンジや客室の窓からは、穏やかな瀬戸内海が広がり、日々の暮らしをイメージしながら滞在することが可能です。小豆島での新たな一歩を踏み出すための、頼もしい拠点になっています。

雄平のおすすめポイント
【3階】フェリー乗船&待合スペース — 待合室や乗船スペースも進化
フェリーの乗下船口がある3階には、スロープが設置されていて乗船の動線もスムーズ。出発と到着の時間には、地元のイラストレーター・山口庸資氏によるイラストが旅人を温かく迎えてくれます。また瀬戸内海を望む待合室は、旅の締めくくりにふさわしい、心落ち着く空間です。
【4階】屋上スペース — 新たな坂手港のシンボルは「SHIP’S CAT」
最上階の屋上には、現代アーティスト・ヤノベケンジ氏によるアート作品「SHIP’S CAT(Jumping)」が佇んでいます。大航海時代の“船乗り猫”をモチーフにしたこの巨大な猫は、「旅人の冒険を見守り、地域に幸せをもたらす存在」として、さかてらすのシンボルになっています。
実は、ジャンボフェリーの新船「あおい」にも「SHIP’S CAT(boarding)」が乗船中。2匹を合わせて、瀬戸内国際芸術祭2025作品(SD:63)【「Journey of SHIP’S CAT 2025」 瀬戸内をめぐるシップス・キャットの旅】となっています。フェリーの出発や到着のタイミングに、フェリーの上から船とさかてらすにいる“2匹”を並べて写真を撮るのもおすすめです!
また、さかてらすの色んなところに「SHIP’S CAT」が隠れているので、ぜひ探してみてください。
坂手港から始まる小豆島のディープな旅 — 感性を刺激する穏やかな時間
「さかてらす」から歩いて5分ほどの場所に、小豆島で広く展開されているシェアサイクル「HELLO CYCLING」のステーションがあります。好きな場所で借りて、別のステーションで返却できる手軽さが魅力で、島内には40か所以上の拠点があり、観光の足としてとても便利です。
自転車に乗って坂手港から約10〜15分でたどり着けるのが、醤油の町・醤(ひしお)の郷。ここは、小豆島の老舗醤油メーカーが軒を連ねる、風情あるエリアです。マルキン醤油の工場近くを通ると、ふわりと漂う醤油の香ばしい香りに包まれ、「ああ、小豆島に来たんだ」と旅の実感が湧いてくるはず。なかでも「ヤマロク醤油」では、歴史ある蔵を無料で見学可能で、伝統的な醤油づくりの世界を間近に感じられます。
さらに、2025年は3年に一度の「瀬戸内国際芸術祭」が開催される年。醤の郷周辺にも、個性的なアート作品が点在しています。人気作品のひとつは、オリーブ並木と絶妙に調和する「オリーブのリーゼント(作家:清水久和)」。そして見逃せないのが、世界的に知られるフランス人写真家ジョルジュ・ルース氏の創作現場を世界で初めてギャラリー化した「GEORGES gallery(作家:ジョルジュ・ルース)」。消えゆく存在に最後の命を吹き込む、静謐でスピリチュアルな世界観に引き込まれます。
また、小豆島を訪れたら、ぜひ海沿いの風景も楽しんで。島を一周する国道436号のうち、旧草壁港〜小豆島オリーブ公園の区間は、瀬戸内らしい穏やかな海が続く絶景ロード。潮風を感じながら、心地よいサイクリングを満喫できます。小豆島オリーブ公園にたどり着けば、ギリシャ風車とオリーブの木々が織りなす異国情緒あふれる風景が迎えてくれます。
新ターミナル「さかてらす」からはじまる小豆島の旅。醤の郷や瀬戸内芸術祭の作品をめぐれば、島が育んできた文化と暮らしの奥行きを感じることができます。歴史を物語る醤油の香り、自然と溶け合うアート、そしてゆったりと流れる島時間。観光の拠点としてだけでなく、心を穏やかに整える場所としても、記憶に残る旅のひとときを過ごせるはずです。
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